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「親は諸白、子は清水」古跡
 
案内板
「親は諸白、子は清水」古跡

   所在地:石岡市村上

 昔、この村上の地は、「村上千軒」といわれるほどの大きな村であった。
 この村に貧しい親子が住んでいた。親孝行な息子は、毎日山に出かけては薪をとり、それを府中の町に売りに行って、その日その日の暮らしをたてていた。年老いた父親は病気がちで、毎日息子が買ってきてくれる酒を、なによりの楽しみにしながら暮らしていた。
 そんなある日、いつものように息子は、府中の町へ薪を売りに行ったが、その日は少しも売れなかった。売れない薪を背負って、途方にくれながら家路をたどっていると、どこからか香しい匂いが漂ってくる。その香りの源をたどっていくと、木立のなかに清水がこんこんと湧き出ていた。息子は喜んで、この清水を腰の瓢につめて持ちかえり、父に飲ませると、父はその諸白(上質の酒)のうまさに驚いた。
 翌日息子は、あまりの不思議さに、昨日の湧き水の場所に出かけて飲んでみると、それはただの清水であった。それ以来、毎日この清水を父に飲ませると、病気がちだった父も元気になって、二人とも幸せな日々を送ることができたという。
 この「親が飲めば諸白、子が飲めば清水」という養老孝子伝説は、古くからこの地方に伝わっており、次のような和歌が詠まれている。

 なにし負う 鄙の府の 子は清水
      汲みてや人の 夏や忘れん
 旅人の 立ちどまれてや 夏蔭は
      子は清水とて 先ず掬うらん

   昭和60年3月
      石岡市教育委員会
      石岡市文化財保護審議会
( 登録No.063/04.11.20 )