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爪書き阿弥陀堂
 
参考資料
爪書き阿弥陀堂

   所在地:石岡市高浜

 室町時代、この地に天台宗の西光院が建立された。その西光院は廃寺になったが、阿弥陀堂だけが現存する。
 阿弥陀堂の中には、本尊の千手観音像と親鸞聖人が、平石に描いた謂れのある阿弥陀碑が、厨子に納められ安置されている。
 その由来は、昭和60年の堂修復工事の際に、堂内から発見された古い巻物にもその縁起が記されている。親鸞が稲田に在留の時、鹿島神社参拝のため港のある高浜の地を通ったある日、腫れもので苦しんでいる者に、法を説き”南無阿弥陀仏”の六字名字を授けると痛みがとれてしまった。病人は小麦の焼餅でお礼のもてなしをした。未来の苦痛も助け賜りたいと願い、上人を送り家に帰ると、庭石に阿弥陀如来像が置かれていた。仏心骨髄にし、御堂を建て菩提寺とした。その人は、後に上人の弟子となり、名を常願坊と改め親鸞に随身したという。
 西光寺に関連のある石碑などから、7名ほどの住職名を知ることができ、その中に光伝法印(常願坊)開山と記されているところから、この常願坊こそ西光寺の開祖であろうと言われている。
 最近まで焼餅を供え念仏をする習慣が続いたことは、寛永12年頃より高浜に江戸まで響いた豪商がおり、子孫代々この阿弥陀堂に深く帰依し、造営その他一切を取り仕切り、これを存続させたためである。

<石岡の歴史と文化 平成8年3月発行> 石岡市歴史ボランティアの会編集 石岡市教育委員会発行
( 登録No.041/02.05.05 )